Deno vs Bun — 次世代JavaScriptランタイムはどちらを選ぶべき?
Node.jsの後継を目指す次世代JavaScriptランタイムとして、DenoとBunが注目を集めています。どちらもNode.jsの課題を解決しつつ、独自の強みを持っています。
この記事では、2026年3月時点の最新情報をもとに、両者を徹底比較します。
基本スペック比較
| 項目 | Deno | Bun |
|---|---|---|
| 開発元 | Deno Land(Ryan Dahl) | Oven(Jarred Sumner) |
| 初版リリース | 2020年 | 2023年(v1.0) |
| 実装言語 | Rust + V8 | Zig + JavaScriptCore |
| TypeScript | ネイティブサポート | ネイティブサポート |
| パッケージマネージャー | deno add / npm互換 | bun install(npm互換) |
| Node.js互換性 | ○(互換レイヤー) | ◎(高互換性) |
| セキュリティ | ◎(パーミッション制) | △(Node.js同等) |
| ライセンス | MIT | MIT |
パフォーマンス比較
| ベンチマーク項目 | Deno | Bun |
|---|---|---|
| HTTP サーバー(req/s) | ◎ | ◎(やや優位) |
| 起動速度 | ◎ | ◎(やや優位) |
| ファイルI/O | ○ | ◎ |
| パッケージインストール | ○ | ◎(npm比30倍速) |
| バンドル速度 | ○ | ◎ |
| テスト実行速度 | ○ | ◎ |
| TypeScriptトランスパイル | ◎ | ◎ |
パフォーマンスではBunが全体的に優位です。特にパッケージインストール速度はnpmの約30倍と圧倒的で、開発体験に大きな差を生みます。ただし、Deno も十分に高速であり、実用上の差は小さい場合が多いです。
Node.js互換性
| 機能 | Deno | Bun |
|---|---|---|
| npm パッケージ利用 | ◎(npm: プレフィックスまたは直接) | ◎(そのまま利用可) |
| package.json | ◎(サポート) | ◎ |
| node_modules | ◎(オプション) | ◎ |
| Node.js組み込みAPI | ○(主要APIは互換) | ◎(高い互換性) |
| Express | ◎ | ◎ |
| Next.js | ○ | ◎ |
| require() | ○ | ◎ |
| __dirname / __filename | ○ | ◎ |
BunはNode.jsとの互換性で優位です。既存のNode.jsプロジェクトをほぼそのまま動かせるケースが多く、移行コストが低いです。Denoも互換性を大幅に改善していますが、一部のNode.jsモジュールで問題が発生する場合があります。
セキュリティモデル
Denoのセキュリティ
Denoの最大の特徴はパーミッションベースのセキュリティです。
- デフォルトで安全: ファイルシステム、ネットワーク、環境変数へのアクセスはデフォルトで禁止
- 明示的な許可:
--allow-read,--allow-net,--allow-env等のフラグで許可 - 細かい制御:
--allow-net=example.comのようにドメイン単位で制御可能 - サプライチェーン攻撃の防止: 悪意のあるパッケージが勝手にファイルシステムやネットワークにアクセスできない
Bunのセキュリティ
- Node.js同等: 特別なセキュリティモデルはない
- フルアクセス: デフォルトでファイルシステム、ネットワークにアクセス可能
- サンドボックスなし: Denoのようなパーミッション制御はない
セキュリティを重視する場合はDenoが圧倒的に優位です。
組み込みツール
| ツール | Deno | Bun |
|---|---|---|
| テストランナー | ◎(deno test) | ◎(bun test) |
| バンドラー | ○ | ◎(bun build) |
| パッケージマネージャー | ◎(deno add) | ◎(bun install) |
| フォーマッター | ◎(deno fmt) | × |
| リンター | ◎(deno lint) | × |
| LSP | ◎ | ○ |
| REPL | ◎ | ◎ |
| タスクランナー | ◎(deno task) | ◎(bun run) |
| ベンチマーク | ◎(deno bench) | × |
| ドキュメント生成 | ◎(deno doc) | × |
Denoは開発に必要なツールをオールインワンで提供しています。フォーマッター、リンター、ドキュメント生成まで含まれており、Prettierやeslintを別途インストールする必要がありません。
Web標準への準拠
| API | Deno | Bun |
|---|---|---|
| fetch | ◎ | ◎ |
| Web Streams | ◎ | ◎ |
| Web Crypto | ◎ | ◎ |
| WebSocket | ◎ | ◎ |
| Web Workers | ◎ | ◎ |
| URLPattern | ◎ | ○ |
| Temporal API | ◎ | ○ |
DenoはWeb標準への準拠を最優先としており、ブラウザと同じAPIが使えます。「ブラウザで動くコードはDenoでも動く」という原則を重視しています。
デプロイ・ホスティング
| プラットフォーム | Deno | Bun |
|---|---|---|
| Deno Deploy | ◎(エッジ) | × |
| Cloudflare Workers | ○ | △ |
| AWS Lambda | ◎ | ◎ |
| Docker | ◎ | ◎ |
| Vercel | ○ | ◎ |
| Railway | ◎ | ◎ |
| Render | ◎ | ◎ |
DenoはDeno Deployというエッジコンピューティングプラットフォームを提供しており、ゼロコンフィグでグローバルにデプロイ可能です。Bunは特定のホスティングサービスは提供していませんが、Docker経由でどこでもデプロイ可能です。
Denoのメリット・デメリット
メリット
- セキュリティ: パーミッション制でサプライチェーン攻撃を防止
- オールインワン: フォーマッター、リンター、テスト、ベンチマーク内蔵
- Web標準: ブラウザ互換のAPI
- Deno Deploy: エッジデプロイが簡単
- TypeScriptネイティブ: 設定不要でTypeScriptが動く
- JSR: 新しいパッケージレジストリ
デメリット
- Node.js互換性: 一部のパッケージで問題が発生する場合がある
- エコシステム: npmに比べてDeno固有のパッケージは少ない
- パフォーマンス: Bunに比べるとベンチマークで劣る項目がある
- 学習コスト: パーミッション制やURL import等の独自概念
Bunのメリット・デメリット
メリット
- 圧倒的な速度: パッケージインストール、起動、実行すべてが高速
- Node.js高互換: 既存プロジェクトをほぼそのまま移行可能
- オールインワン: パッケージマネージャー、バンドラー、テストランナー内蔵
- TypeScriptネイティブ: 設定不要でTypeScriptが動く
- DX:
bun installの速さが開発体験を大幅に改善
デメリット
- セキュリティモデルなし: Denoのようなサンドボックスがない
- 安定性: まだ若いプロジェクトで、エッジケースでのバグがある
- フォーマッター/リンター: 内蔵していない
- Windows対応: macOS/LinuxがメインでWindows対応は遅れ気味
- JavaScriptCore: V8に比べてエコシステムが小さい
ユースケース別おすすめ
既存Node.jsプロジェクトの移行
おすすめ: Bun — 高い互換性でスムーズに移行
セキュリティ重視のサーバーサイド
おすすめ: Deno — パーミッション制で安全
開発ツールチェーンの統一
おすすめ: Deno — フォーマッター、リンター、テスト、ベンチマークが全部入り
CI/CDの高速化
おすすめ: Bun — パッケージインストールとテスト実行の速さが圧倒的
エッジコンピューティング
おすすめ: Deno — Deno Deployでグローバルエッジデプロイ
まとめ:結局どちらを選ぶべき?
| 重視するポイント | おすすめ |
|---|---|
| パフォーマンス | Bun |
| セキュリティ | Deno |
| Node.js互換性 | Bun |
| 開発ツール | Deno |
| Web標準 | Deno |
| エッジデプロイ | Deno |
| DX(速度体感) | Bun |
| 成熟度 | Deno |
**「速さとNode.js互換を求めるならBun、セキュリティとWeb標準を求めるならDeno」**が結論です。
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