年末調整とは
年末調整は、会社員が1年間に支払った所得税の過不足を精算する手続きです。毎月の給与から天引きされている所得税(源泉徴収税額)は概算なので、年末に正確な税額を計算し直し、払いすぎた分は還付、不足分は追加徴収されます。
会社員は原則として年末調整で税金が確定するため、確定申告は不要です(医療費控除やふるさと納税の確定申告を除く)。
年末調整で提出する書類一覧
| 書類名 | 対象者 | 提出する控除 |
|---|---|---|
| 扶養控除等(異動)申告書 | 全員 | 扶養控除、障害者控除、ひとり親控除 |
| 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 年金等の受給者の扶養親族等申告書 | 全員(該当部分のみ記入) | 基礎控除、配偶者控除 |
| 保険料控除申告書 | 生命保険等に加入している人 | 生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除 |
| 住宅借入金等特別控除申告書 | 住宅ローン控除2年目以降の人 | 住宅ローン控除 |
書類①:扶養控除等(異動)申告書
記入が必要な人
全員が提出必須です。扶養親族がいない場合でも、氏名・住所等を記入して提出します。
記入欄の解説
A欄:源泉控除対象配偶者
以下の条件を両方満たす場合に記入します。
- あなたの所得が900万円以下(年収1,095万円以下)
- 配偶者の所得が95万円以下(年収150万円以下)
B欄:控除対象扶養親族
16歳以上の扶養親族を記入します。
| 区分 | 年齢 | 控除額 |
|---|---|---|
| 一般の控除対象扶養親族 | 16〜18歳 | 38万円 |
| 特定扶養親族 | 19〜22歳 | 63万円 |
| 一般の控除対象扶養親族 | 23〜69歳 | 38万円 |
| 老人扶養親族(同居) | 70歳以上 | 58万円 |
| 老人扶養親族(非同居) | 70歳以上 | 48万円 |
C欄:障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生
該当する場合にチェックを入れます。
- 障害者控除:本人または扶養親族が障害者手帳を持っている場合
- ひとり親控除:所得500万円以下のひとり親(35万円控除)
- 勤労学生控除:所得75万円以下の勤労学生(27万円控除)
書類②:基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書
基礎控除申告書の記入
全員が記入する部分です。合計所得金額を記入し、基礎控除額を判定します。
| 合計所得金額 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 2,400万円以下 | 48万円 |
| 2,400万円超〜2,450万円以下 | 32万円 |
| 2,450万円超〜2,500万円以下 | 16万円 |
| 2,500万円超 | 0円 |
ほとんどの会社員は合計所得2,400万円以下なので、基礎控除は48万円です。
配偶者控除等申告書の記入
配偶者の所得が133万円以下(年収201.6万円未満)の場合に記入します。
| 配偶者の合計所得 | 配偶者の年収目安 | 控除の種類 | 控除額(本人の所得900万円以下) |
|---|---|---|---|
| 48万円以下 | 103万円以下 | 配偶者控除 | 38万円 |
| 48万円超〜95万円以下 | 103万円超〜150万円以下 | 配偶者特別控除 | 38万円 |
| 95万円超〜100万円以下 | 150万円超〜155万円以下 | 配偶者特別控除 | 36万円 |
| 100万円超〜105万円以下 | 155万円超〜160万円以下 | 配偶者特別控除 | 31万円 |
| 105万円超〜110万円以下 | 160万円超〜167万円以下 | 配偶者特別控除 | 26万円 |
| 110万円超〜115万円以下 | 167万円超〜175万円以下 | 配偶者特別控除 | 21万円 |
| 115万円超〜120万円以下 | 175万円超〜183万円以下 | 配偶者特別控除 | 16万円 |
| 120万円超〜125万円以下 | 183万円超〜190万円以下 | 配偶者特別控除 | 11万円 |
| 125万円超〜130万円以下 | 190万円超〜197万円以下 | 配偶者特別控除 | 6万円 |
| 130万円超〜133万円以下 | 197万円超〜201.6万円未満 | 配偶者特別控除 | 3万円 |
書類③:保険料控除申告書
生命保険料控除
生命保険料控除は3つの区分に分かれています。
| 区分 | 対象 | 控除上限(新制度) |
|---|---|---|
| 一般の生命保険料 | 死亡保険、養老保険等 | 最大4万円 |
| 介護医療保険料 | 医療保険、がん保険等 | 最大4万円 |
| 個人年金保険料 | 個人年金保険 | 最大4万円 |
| 合計 | 最大12万円 |
新制度の控除額計算
| 年間保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 20,000円以下 | 全額 |
| 20,001〜40,000円 | 保険料 × 1/2 + 10,000円 |
| 40,001〜80,000円 | 保険料 × 1/4 + 20,000円 |
| 80,001円以上 | 一律40,000円 |
地震保険料控除
| 区分 | 控除上限 |
|---|---|
| 地震保険料 | 最大5万円 |
| 旧長期損害保険料 | 最大1.5万円 |
iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)
iDeCoの掛金は全額が所得控除です。保険料控除申告書ではなく「小規模企業共済等掛金控除」の欄に記入します。
書類④:住宅ローン控除申告書
対象者
住宅ローン控除の2年目以降の方が対象です。初年度は確定申告が必要です。
必要な添付書類
- 住宅借入金等特別控除申告書(税務署から届く)
- 残高証明書(金融機関から届く)
控除額の計算
| 入居年 | 控除率 | 控除期間 | 借入上限 |
|---|---|---|---|
| 2024年〜2025年(認定住宅) | 0.7% | 13年 | 4,500万円 |
| 2024年〜2025年(ZEH) | 0.7% | 13年 | 3,500万円 |
| 2024年〜2025年(省エネ基準適合) | 0.7% | 13年 | 3,000万円 |
| 2024年〜2025年(その他) | 0.7% | 13年 | 2,000万円 |
※2026年以降の入居は最新の税制改正を確認してください。
年末調整の還付金はいつもらえる?
年末調整の還付金は、通常12月の給与または1月の給与と一緒に振り込まれます。会社によって時期が異なるので、経理部門に確認しましょう。
還付が多くなるケース
- 生命保険料控除を申告した
- 配偶者控除・配偶者特別控除を申告した
- 住宅ローン控除(2年目以降)を申告した
- 年の途中で扶養親族が増えた(子供の誕生等)
- iDeCoの掛金控除を申告した
年末調整でできないこと(確定申告が必要)
以下の控除は年末調整では受けられません。確定申告が必要です。
| 控除・申告 | 理由 |
|---|---|
| 医療費控除 | 年末調整の対象外 |
| ふるさと納税(6自治体以上) | ワンストップ特例の上限超え |
| 住宅ローン控除(初年度) | 初年度は確定申告が必要 |
| 雑損控除 | 災害等による損失 |
| 副業の申告 | 給与以外の所得がある場合 |
よくある質問
Q. 年末調整の書類を出し忘れたらどうなる?
会社の期限に間に合わなかった場合は、確定申告で控除を受けることができます。翌年の3月15日までに申告しましょう。
Q. 転職した年の年末調整はどうする?
転職先の会社で年末調整を受けます。前職の源泉徴収票を転職先に提出してください。
Q. パート・アルバイトでも年末調整は必要?
「扶養控除等(異動)申告書」を提出しているメインの勤務先で年末調整が行われます。掛け持ちの場合はメインの1社のみです。
まとめ
年末調整は、正しく申告することで数万円〜数十万円の還付を受けられる重要な手続きです。
- 扶養控除等申告書は全員提出
- 生命保険料控除は証明書を添付
- 配偶者の収入を正確に記入
- 住宅ローン控除は2年目から年末調整で可能
- 書類の提出期限を守る
年末調整後の正確な手取り額を確認したい方は、Assistyの**手取り計算ツール**で年収・控除額を入力してシミュレーションしてみてください。