年末調整とは?必要な理由
年末調整とは、会社員が1年間に払いすぎた所得税を精算する手続きです。毎月の給与から天引きされる源泉徴収税額は概算のため、実際の税額との差額を年末に調整します。
年末調整で還付される主な控除:
- 生命保険・地震保険の保険料控除
- 配偶者・扶養家族がいる場合の控除
- 住宅ローン控除(2年目以降)
- 基礎控除
多くの会社員は1〜5万円程度が還付されます。書き方を間違えると損をしますので、正確に記入しましょう。
年末調整で提出する書類一覧
| 書類名 | 誰が提出 | 主な記入内容 |
|---|---|---|
| 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 全員 | 基礎控除、配偶者・扶養家族情報 |
| 給与所得者の基礎控除申告書 | 全員 | 合計所得の見積額、基礎控除額 |
| 給与所得者の保険料控除申告書 | 保険に加入している人 | 生命・医療・地震保険料等 |
| 住宅借入金等特別控除申告書 | 住宅ローン控除を受ける人(2年目以降) | 住宅ローン残高等 |
【書類①】扶養控除等(異動)申告書の書き方
基礎控除欄
- 合計所得金額の見積額: その年の給与収入見込み額を記入
- 給与収入が2,400万円以下なら「基礎控除額 48万円」
- 2,400万〜2,450万円: 32万円
- 2,450万〜2,500万円: 16万円
- 2,500万円超: 0円
配偶者控除欄
配偶者の年収が201万円以下の場合に記入します。
| 配偶者の合計所得 | 控除額(本人の所得1,000万円以下) |
|---|---|
| 48万円以下(給与収入103万円以下) | 38万円(配偶者控除) |
| 48〜133万円(103〜201万円) | 3〜38万円(配偶者特別控除) |
よくある間違い: 配偶者がパートで収入がある場合、「扶養に入っているから」と記入を省略すると間違いに。必ず配偶者の収入見込みを確認して記入しましょう。
扶養親族欄
16歳以上の子どもや同居の親など、年間所得が48万円以下(給与収入103万円以下)の家族を記入します。
| 扶養区分 | 対象 | 控除額 |
|---|---|---|
| 一般扶養親族(16〜18歳) | 高校生 | 38万円 |
| 特定扶養親族(19〜22歳) | 大学生等 | 63万円 |
| 老人扶養親族(70歳以上) | 同居老親 | 58万円 |
| 老人扶養親族(70歳以上・同居以外) | 遠方の親 | 48万円 |
【書類②】保険料控除申告書の書き方
生命保険料控除
生命保険の保険料控除証明書(10〜11月頃に届く)を見ながら記入。
区分(契約の種類によって異なる):
- 一般生命保険料: 死亡保険、医療保険(2012年以前の契約は旧制度)
- 介護医療保険料: 医療保険、がん保険(2012年以降の契約)
- 個人年金保険料: 個人年金保険
控除額の計算(新制度):
| 年間保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 2万円以下 | 保険料全額 |
| 2万円〜4万円 | 保険料 × 1/2 + 1万円 |
| 4万円〜8万円 | 保険料 × 1/4 + 2万円 |
| 8万円超 | 4万円(上限) |
3種類の合計で最大12万円まで控除できます。
記入のポイント: 証明書に「新制度」「旧制度」と記載されているので確認。同じ種類で新旧両方ある場合、有利な方を選択できます。
地震保険料控除
地震保険は支払い保険料の全額(上限5万円)が控除。
| 年間保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 5万円以下 | 全額 |
| 5万円超 | 5万円(上限) |
旧長期損害保険料は別途最大1.5万円まで控除あり。
社会保険料控除
会社が給与から天引きしている社会保険料は会社が申告するため、個人で別途記入する必要があるのは:
- 国民年金保険料(自分で払っている場合)
- 国民健康保険料
- iDeCoの掛金(全額控除)
【書類③】住宅ローン控除申告書の書き方
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は購入1年目のみ確定申告、2年目以降は年末調整で手続きできます。
必要書類
- 税務署から届いた「住宅借入金等特別控除申告書」(10年分一括送付)
- 銀行から届いた「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
計算式
住宅ローン控除額 = 年末のローン残高 × 0.7%
例: ローン残高4,000万円 → 控除額28万円/年
上限は:
- 新築(長期優良住宅等): 4,500万円(控除上限31.5万円/年)
- 一般新築: 3,000万円(控除上限21万円/年)
- 中古住宅: 2,000万円(控除上限14万円/年)
よくある年末調整の間違い
NG例①: 副業収入を申告しない
副業・不動産収入がある場合、年末調整後に確定申告も必要。年末調整と確定申告は両立します。
NG例②: 保険料控除証明書を無視
「面倒くさい」「少額だから」という理由で提出を省略するのは損。4万円の保険料なら最大2万円の控除、数千円の還付になります。
NG例③: 配偶者の収入変動を確認しない
パートの配偶者が収入増加で103万円を超えた場合、控除額が変わります。毎年確認しましょう。
NG例④: 扶養している子どもの年齢確認不足
扶養控除は16歳以上から。15歳以下(中学生まで)は対象外です(児童手当の対象のため)。
年末調整と確定申告の違い
| 年末調整 | 確定申告 | |
|---|---|---|
| 対象 | 会社員(給与所得者) | 全員(会社員も条件によって必要) |
| 手続き | 会社が代行 | 自分で税務署に申告 |
| 時期 | 11〜12月(翌年1月まで) | 2月16日〜3月15日 |
確定申告が別途必要な会社員:
- 副業・フリーランス収入が20万円超
- 医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税)を申告したい
- 住宅ローン控除の初年度
- 給与収入が2,000万円超
まとめ:チェックリスト
□ 扶養控除等申告書
□ 配偶者の収入確認(103万円・201万円の壁)
□ 扶養家族(16歳以上)の確認
□ 基礎控除欄の記入
□ 保険料控除申告書(保険加入者のみ)
□ 生命保険・医療保険の証明書を用意
□ 地震保険の証明書を用意
□ iDeCo掛金証明書(10月頃届く)
□ 住宅ローン控除申告書(2年目以降)
□ 税務署からの申告書を用意
□ 銀行からの年末残高証明書を用意
年末調整後の手取り額変化はタスカリの手取り計算ツールでシミュレーションできます。