AWSとGCPの基本的な違い
クラウドインフラ市場でシェアを競う2大プレイヤー(Azureを含めると3強)が**AWS(Amazon Web Services)とGCP(Google Cloud Platform)**です。
AWSは2006年に登場したクラウドの先駆者です。世界最大のシェアを持ち(約30〜33%)、250以上のサービスを提供します。「デファクトスタンダード」として、エンタープライズから個人開発者まで幅広く採用されています。
GCPは2008年にGoogleがリリースしたクラウドプラットフォームです。Google検索やYouTubeを支えるインフラが基盤であり、特にAI/ML・データ分析・Kubernetesで強みを持ちます。シェアは約10〜12%で3位ですが、成長率は高い。
サービス比較表
| カテゴリ | AWS | GCP |
|---|---|---|
| コンピューティング | EC2, Lambda, ECS | Compute Engine, Cloud Run, GKE |
| ストレージ | S3, EBS, EFS | Cloud Storage, Persistent Disk |
| データベース | RDS, DynamoDB, Redshift | Cloud SQL, Firestore, BigQuery |
| Kubernetes | EKS | GKE(Kubernetesの本家Google) |
| AI/ML | SageMaker, Bedrock | Vertex AI, TPU |
| サーバーレス | Lambda | Cloud Functions, Cloud Run |
| CDN | CloudFront | Cloud CDN |
| DNS | Route 53 | Cloud DNS |
| 監視 | CloudWatch | Cloud Monitoring |
| CI/CD | CodePipeline, CodeBuild | Cloud Build |
| サービス数 | 250以上 | 150以上 |
| グローバルリージョン | 33リージョン | 40以上のリージョン |
日本リージョンの比較
AWS(東京・大阪)
- 東京リージョン: 2011年開設。東アジア最大級のAWSリージョン
- 大阪リージョン: 2021年開設。東京リージョンとの冗長化に利用
- 日本語サポートが充実(サポートプランによる)
- 日本国内の主要企業がAWSを採用(日本のシェア最大)
GCP(東京・大阪・ソウル)
- 東京リージョン: asia-northeast1(2016年開設)
- 大阪リージョン: asia-northeast2(2019年開設)
- レイテンシはAWSと同等水準
- Googleのグローバルネットワーク(Andromeda)は速度が高評価
AI/ML 能力の比較
AWS
- Amazon SageMaker: ML モデルの構築・学習・デプロイをフルマネージド
- Amazon Bedrock: Claude, Llama, Stable Diffusionなどのファウンデーションモデル
- Rekognition: 画像・動画解析
- AI/MLの幅広いサービスがあるが、GCPほど特化していない
GCP
- Vertex AI: Googleのフルマネージドな機械学習プラットフォーム
- TPU(Tensor Processing Unit): Google独自のAIアクセラレーター
- BigQuery ML: SQLだけでML可能
- Gemini API: Google最新のLLMをAPIで利用
- AI Studio: 開発者向けGeminiプロトタイピング環境
AI/MLの開発・研究用途ではGCPが優位。TPUとVertex AIはGoogle独自の強みです。
Kubernetes
AWS(EKS)
- EKS(Elastic Kubernetes Service)でマネージドKubernetes
- AWSサービスとの統合が深い(IAM・ALB・EFS等)
- 設定の柔軟性が高い
- コントロールプレーン料金: $0.10/時間
GCP(GKE)
- GKE(Google Kubernetes Engine): Kubernetes本家Googleが提供
- オートパイロットモード(完全マネージド)
- アップグレードの自動化が優秀
- コントロールプレーン料金: 無料(Autopilotは使用量課金)
KubernetesならGKE。Kubernetesを生み出したGoogleが運用するGKEは安定性と使いやすさで評価が高い。
料金の考え方
AWS
- 従量課金(使った分だけ支払い)
- Savings PlansとReserved Instancesで最大72%割引
- 1年/3年の長期契約で大幅削減可能
- 料金体系が複雑でコスト管理に専門知識が必要
- AWS 無料利用枠: 12ヶ月間の無料枠 + 常時無料枠
GCP
- 従量課金 + 継続使用割引(自動適用)
- 継続使用割引: 月の25%以上使うと自動で最大30%引き
- 確約使用割引: 1/3年契約で最大57%引き
- 料金は若干AWSより低い傾向
- Google Cloud Free Tier: Always Free(常時無料枠)が充実
コスト削減の手間はGCPの方が少ない(継続使用割引が自動適用)。
こんな用途におすすめ
AWSがおすすめ
- エンタープライズ・大規模システム: 豊富なサービスと実績
- 求人・スキルアップ: AWS認定資格は業界標準、求人も最多
- 日本国内の大企業: 多くの日本企業がAWS採用
- マイクロサービス・複雑なアーキテクチャ: サービスの選択肢が最多
- EC/eコマース: Amazonのインフラそのもの
GCPがおすすめ
- AI/ML・データサイエンス: Vertex AI・TPU・BigQuery
- Kubernetes重視: GKEはKubernetes管理の最良の選択肢
- Google Workspaceを使っている: GSuiteとの連携が簡単
- データ分析・BIツール: BigQueryは業界最速のデータウェアハウス
- コスト最適化: 継続使用割引の自動適用
結論:どちらを選ぶべき?
エンタープライズ・キャリアアップを目指すならAWS。実績・求人・エコシステムの成熟度で断トツのシェアを持ちます。
AI/ML・データ分析・Kubernetesが中心ならGCP。Googleのコア技術が直接使えるGCPは特定用途で強力です。
多くの場合、AWS認定取得 → 実務でGCPも触る、という流れが現実的です。
クラウドストレージの比較はDropbox vs Google Drive比較もご参照ください。